困った時のお散歩写真 150
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犬のことを考える。わたしには猫の気持ちなどわからないけど、犬の気持ちだってさっぱりわからない。犬について知っていることはわずかだ。大きいのと小さいのがいる。吠える。かわいい。うれしいとしっぽをぶんぶん振る。飼われている犬がたくさんいる。今思いついたのはそれくらい。長い毛を持つ白くて大きな犬が、風に吹かれて気持ちよさそうにしている様子を想像するとちょっとうれしくなる。どんなに小さな犬にでも、吠えられるのは、実はこわい。
野良猫にはよく遭遇する。でも野良犬には遭遇したことがない。たまたまなのかもしれないけれど。飼い犬にはよく遭遇する。いたるところにいる。よく散歩をしている。ちょっとうらやましい気がしないでもない。飼い犬については書かない方がいいような気がしている。
野良犬には遭遇したことがない、と書いた。しかしひとりで走ってる犬なら見たことがある。高校生のときだ。早朝、5時とか5時半とか、それくらいの時刻だった気がする。まだあたりは薄暗かった。部活の試合があって、弓をかついで自転車で学校に行く途中、車のほとんど通っていない国道で、信号待ちをしていた。車もあんまり来ないし渡っちゃってもいいかなあ、などと寝不足の頭で考えていたら、白っぽい犬が首につながったままの長い紐をひきずりながら猛スピードで横切って行くのが見えた。そしてえっ?と思った次の瞬間にはもういなくなっていた。飼い主が後ろから走ってついてくるのかと目をこらしたけれど、誰もいなかった。一体何だったんだろう。家出?早朝トレーニング(何のだ)?ロミオとジュリエット的に彼女に会いに行く?または走れメロス?家出が一番近いような気がするのだが何かの自主トレであったのだと思いたい、などとくだらないことも含めいろいろ考えたけれど、当然のことながら真実は犬にしかわからない。わたしは今でもときどきその犬を思い出す。その日の試合結果がどうだったのかはさっぱり思い出せない。
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新しい傘に雨粒がぱらぱらと当たる音を聞きながら海のそばを歩く。木の根元で丸くなっている2匹の猫を見つけたので、いつものように近づくと、白い方がにゃあと鳴きながら足元にやってきた。しばらくして、青い傘を持ったこの人間が自分の体を撫でもしないし食べ物もくれないことに気づいたのか、猫はあきらめた様子で元の場所に戻っていった。そのあと何故か黒い方に威嚇されていた。
そういえばこの前も猫に威嚇されている猫を見た。威嚇されたのはただあたたかな日だまりで気持ちよさそうに丸くなっている猫だった。特に何か威嚇されるようなことをしたふうには見えなかった。丸くなっていた場所が悪かったのか、威嚇した方の機嫌がものすごく悪かったのか。威嚇した方は行動を起こすその少し前、獲物を狙うかのように低い姿勢でタイミングをじっとはかっていた。なんだったんだろう。
わたしには猫の気持ちはわからない。いろいろと無責任に想像することができるだけで。わたしは意味もなく新しい傘をくるりと回す。雨の日の散歩は楽しい。
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人ごみのなかで人を探す。ここにいるはずのない人。ここにいるであろう人。ここにいるかもしれない人。どちらにせよ、会うことはないだろう人。
でももし会ってしまったらどうしよう、と思う。こんにちはと笑顔で挨拶ぐらいはするだろうけれど、何を話したらいいのか見当もつかない。では挨拶をしてその場を去ればいい。もしくは挨拶もせず気づかないふりをして人の波に紛れてしまえばいい。しかしもし会うことができたなら、少しでも長くその場にいたいと思うだろう。話をしたいと思うだろう。気づかないふりなんてできるのだろうか。あとで必ず後悔する。わたしは会いたかったのだ。本当に会いたかったのだ。だからずっと探していたのだ。探して探して、でもやはり、結局会うことなどできない。
そうしてようやく、自分で引いたラインの意味を知る。誰もこの線を超えないことを再確認し、安堵し、深い溜息をつく。
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